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施設看護師になると看護技術は落ちる?急性期を離れて働いて感じたこと

急性期の循環器病棟から療養病棟、有料老人ホームへ移った経験から、鈍った手技、残った判断力、施設で伸びた観察力を振り返ります。

「施設へ行くと看護技術が落ちる」という話は、わたしも病院にいたころから耳にしていました。急性期の循環器病棟から療養病棟へ移り、現在は有料老人ホームで働いています。正直に言えば、使わなくなって鈍った技術はあります。一方、環境が変わっても残った力や、施設へ来てから伸びた力もありました。ここでは、わたし自身に起きた変化を一つの事例として紹介します。

この記事の内容
  1. 病院を離れる前は、技術のことが気になっていた
  2. 急性期の循環器病棟で行っていたこと
  3. 療養病棟へ移って使わなくなったもの
  4. 有料老人ホームで現在行っている処置
  5. 看護技術が鈍ったと感じた場面
  6. 環境が変わっても残っていた力
  7. 施設へ来てから伸びたと感じる力
  8. 技術が落ちたことで困ったことはあるか
  9. 現在も単発バイトを続けている
  10. 病院へ戻ることへの不安
  11. 技術が落ちることが怖くて動けない人へ
  12. まとめ

病院を離れる前は、技術のことが気になっていた

看護技術が落ちることへの不安はありました。ただし、不安の大きさは転職のたびに同じではありません。

急性期から療養病棟へ移るときより、病院から有料老人ホームへ移るときのほうが不安は大きくなりました。療養病棟も病院なので、環境の変化にはある程度の連続性があったからです。

施設へ移ると、働き方だけでなく、一緒に働く職種の構成も変わります。環境そのものが大きく変わる不安に、「使わない技術はどうなるのだろう」という気持ちが加わっていました。

急性期の循環器病棟で行っていたこと

急性期の循環器病棟には約3年いました。日常的に行っていたのは、点滴、採血、吸引、血液ガス分析、PCI後の12誘導心電図などです。シリンジポンプの管理や心電図モニターの確認・管理もあり、PCIを受ける患者さんの前後の観察や準備も業務に含まれていました。

振り返ると、機械を扱う場面がかなり多い環境でした。手技そのものだけでなく、モニターや機器を見ながら判断する比重も大きかったと思います。

当時は、これらの技術や機器の扱いが日常の一部でした。考えてから動くというより、繰り返し行うなかで体が覚えていた部分もあります。

療養病棟へ移って使わなくなったもの

療養病棟へ移ってから、PCIに関わる業務はなくなりました。モニター管理も、循環器病棟と比べるとほとんどありませんでした。病棟によって業務内容は異なるため、これはわたしが働いた療養病棟での経験です。

このときは、「技術が落ちた」というより、「使う場面がなくなった」という感覚に近いものでした。まだ病院のなかにいたため、点滴や採血などの処置は行っていました。

急性期で使っていた技術が一度にすべてなくなったわけではなく、職場が変わるにつれて、日常的に使うものが少しずつ変わっていきました。

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有料老人ホームで現在行っている処置

現在の有料老人ホームで行っているのは、胃ろうの管理、インスリン、軟膏の塗布、爪切りなどです。採血や吸引は基本的にありません。

まったく行わなくなったのは、モニター管理、ポンプ管理、人工呼吸器の操作や管理です。急性期で行っていた仕事のうち、機械が関わる部分は、ほぼそのまま日常業務からなくなりました。

同じ有料老人ホームでも、入居者さんの状態や施設の方針によって必要な処置は違います。ここで挙げているのは、わたしが現在働いている施設での内容です。

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看護技術が鈍ったと感じた場面

はっきり自覚したのは、看護師として働く知り合いと12誘導心電図の電極について話したときでした。位置と色がすぐに出てこなかったのです。急性期にいたころは、考えるより先に手が動いていました。

人工呼吸器の操作や管理にも、同じような感覚があります。今、目の前に置かれたとしても、すぐには動けないと思います。日常的に触れ続けないと、精度を保ちにくい種類の技術なのだと感じました。

ただ、「思い出せない」と気づいたときのショックは、想像していたほど大きくありませんでした。すべてがゼロになったというより、輪郭がぼやけたような感覚です。もう一度同じ環境に入れば戻る部分もあるのではないかと、わたし自身は考えていますが、実際に復職した経験があるわけではありません。

環境が変わっても残っていた力

一方で、働く場所が変わっても残っていると感じたのが、観察力、アセスメント、優先順位のつけ方です。

利用者さんが急変した場面では、急性期での経験が役立ちました。施設には医師が常駐していませんが、急変そのものは急性期にいたころにも経験していました。そのため、ほかのスタッフより落ち着いて動けたと思います。

何をどの順番で確認するか、誰へ何を伝えるかが、あまり迷わずに出てきました。技術には、手が覚えている手技と、考え方として身についているものがあるのだと感じた場面です。

手技は使わなければ鈍りますが、考え方として身についた力は、場所が変わっても比較的持っていける印象があります。急性期を経験してよかったと思ったのは、まさにこのような場面でした。

施設へ来てから伸びたと感じる力

施設で働き始めてから伸びたと感じるものもあります。一つは、日々の細かな変化を見る力です。

施設では、劇的な変化よりも、いつもより食事が進まない、座り方が普段と違うといった小さなずれを見る場面が多くあります。その変化を積み重ねて判断します。長い目線で状態を追う視点は、施設へ来てから育ったと感じます。

もう一つは、人との関係をつくる力です。病院では入退院による入れ替わりがあり、検査入院のように1〜2日で退院する方もいるため、関わる期間が限られていました。

施設では、同じ入居者さんと長く関わります。その人の普段を知ったうえで話し、いつもとの違いに気づけるようになりました。これも施設看護で身につく力の一つだと思っています。

技術が落ちたことで困ったことはあるか

今のところ、技術が鈍ったことで実際に困った場面はありません。現在の職場で必要とされる技術と、わたしが使わなくなった技術が重なっていないからです。

例えば、モニター管理ができなくて困るのは、モニターを扱う環境にいる場合です。困るかどうかは、自分の技術の状態だけでなく、どこで働いているかによって決まる部分も大きいと感じます。

そのため、「技術が落ちるか」を考えるときは、今後どのような職場で働きたいかと一緒に考えるほうが現実的だと思っています。これは、あくまで現在のわたしの実感です。

現在も単発バイトを続けている

看護技術を保つため、と言い切れるほどではありませんが、現在もときどき単発バイトをしています。

続けている理由はいくつかあります。登録している派遣求人では、月に何回か勤務しないと契約が切れるという事情があります。それだけでなく、さまざまな施設を経験でき、収入にもなることが大きな理由です。

結果として、現在の職場以外の現場を定期的に見る機会にはなっています。ただし、病院で使っていた手技を維持するための勤務ではありません。

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病院へ戻ることへの不安

今のところ、病院へ戻る予定はありません。ただ、もし戻ることになれば、不安は感じると思います。

その場合は、看護協会や看護関連の研修サービスなどの利用を検討し、感覚を取り戻すための段階を一つ挟んでから動きたいと考えています。いきなり現場へ戻って追いつこうとするより、そのほうが自分には合っていると思うからです。

これは現時点でのわたしの考えであり、実際に病院へ復職して技術を取り戻した経験ではありません。それでも、戻る場合の準備を考えられるようになったことで、以前より不安を整理しやすくなりました。

技術が落ちることが怖くて動けない人へ

ここからは、わたし個人の考えです。技術が落ちることを怖いと感じる気持ちは分かります。わたしも、転職前は不安でした。

ただ、わたしにとっては、合わない環境で無理な働き方を続けることへの不安のほうが大きくなりました。技術への不安だけを理由に、今の働き方を変えないことが自分に合っているとは限らないと考えました。

もちろん、医療処置を続けたい人や、急性期でさらに経験を積みたい人には、病院へ残る選択が合うと思います。どちらが正しいという話ではありません。

自分が何を失いたくないのか、反対に何を変えたいのかを並べてみると、転職するかどうかを考えやすくなると思います。

まとめ

急性期から施設へ移り、PCI関連の業務、モニター管理、ポンプ管理、人工呼吸器の操作・管理など、普段行わなくなった技術は鈍りました。12誘導心電図のように、聞かれてもすぐに答えられなくなったものもあります。

一方、観察力、アセスメント、優先順位のつけ方は残っていて、急変時にも急性期での経験が役立ちました。施設で働き始めてからは、小さな変化を長い目線で追う力や、同じ入居者さんと関係をつくる力も伸びたと感じます。

落ちるものと残るものがあり、その代わりに増えるものもある。これが、現在のわたしの実感です。施設へ転職するか迷っている場合は、「技術が落ちるか」だけでなく、これからどのような仕事を続けたいかも一緒に考えることが大切だと思います。

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