転職しようと思ったとき、給与も休みも通勤も仕事内容も、すべて良い職場が理想です。しかし、実際にはどこかで折り合いをつけることになります。わたしは看護師として2回転職し、現在は有料老人ホームで働いています。振り返ると、条件をすべて並べるより先に「これだけは外せない」がはっきりしていました。ここでは、わたしが何を譲れない条件にしたのか、その理由と求人を比較した方法を紹介します。生活の形や負担の感じ方は人によって異なるため、一つの考え方として読んでください。
- 転職先の希望条件を整理した理由
- 最初から譲れない条件は二つだった
- 絶対に譲れなかったのは年収と通勤時間
- 年収の最低ラインを決めた考え方
- 通勤時間を重視した理由
- 夜勤回数は希望する上限を数字で伝えた
- できれば叶えたかったのは年間休日120日
- 妥協できる条件は残業と施設の種類
- 仕事内容より待遇を先に見た
- 紹介された求人を項目ごとに比較した
- 条件面と職場の雰囲気を分けて考えた
- 現在の職場は希望条件をどこまで満たしたか
- 転職エージェントへ伝える前にリストを作った
- 転職条件を整理するためのチェックリスト
- まとめ
転職先の希望条件を整理した理由
わたしの転職の起点は、待遇そのものではありませんでした。病棟から施設へ環境を変えたいという気持ちが先にあり、そこから動き始めています。無理をしてでも年収を上げたい、休みを大幅に増やしたいという希望が最初にあったわけではありません。
そのため、条件面については1回目の転職も2回目の転職も大きく変わっておらず、枝葉の部分を除けば、だいたい似た内容でした。
一番悩んだのは、どの施設へ行けばよいかということです。介護施設は種類が多く、名前だけでは仕事の中身が分かりません。以前に単発派遣でさまざまな施設を見た経験と、転職エージェントから聞いた施設ごとの特徴をもとに整理しました。
条件を整理する前に、そもそも選択肢の中身を知らなければ比べられない。これは、転職活動を通じて実感したことです。
最初から譲れない条件は二つだった
正直に書くと、転職を考え始めた時点で、細かい条件をたくさん並べていたわけではありません。
理想をすべて書き出してから優先順位をつける方法もありますが、わたしはそうしませんでした。譲れないものが二つあり、それ以外は、そのときの状況で考えるという感覚だったからです。
条件が少なかった分、迷いも少なかったのかもしれません。ただし、条件が少ないほうがよいという話ではなく、あくまでわたしの場合です。
絶対に譲れなかったのは年収と通勤時間
最後まで譲らなかったのは、年収の最低ラインと通勤時間の二つでした。
この二つに共通するのは、入職後に自分の努力だけでは変えにくいことです。仕事の進め方は慣れると変わりますが、通勤時間は慣れても短くなりません。給与も、入職後に自分の裁量で大きく動かせるものではありません。
そのため、この二つを先に決め、条件から外れる求人は見ないようにしていました。
年収の最低ラインを決めた考え方
わたしは、年収約450万円を最低ラインにしていました。
決め方はシンプルで、前年の年収を基準にしています。生活費から細かく逆算したわけでも、相場を調べて設定したわけでもありません。現在もらっている金額から下げたくない、下げるとしても450万円まで、という線の引き方でした。
前職の年収を基準にすると、実際にその金額で生活できていることが分かっているため、判断しやすいと思います。一方、現在の給与水準によっては、基準そのものを低く固定してしまう可能性もあります。金額そのものより、まず何を基準に線を引くかを決めることが大切だと思います。
通勤時間を重視した理由
もう一つ重視したのが通勤時間です。片道30分から1時間の範囲を希望し、1時間を超える職場は仕事内容が良くても長く続けにくいと考えていました。
以前の職場は、車でなければ通えない場所にあり、自宅から約30分かかりました。道が混むと到着時間を読めず、夜勤明けには眠気のある状態で運転しなければなりません。眠気で一瞬でも意識が飛べば危ないということを、実際に運転しながら感じていました。
さらに冬の朝にはフロントガラスが凍り、溶かしてから出発する必要がありました。この作業を挟んだうえで、さらに遠い職場へ通うことは現実的ではないと思いました。
通勤時間の重みは、手段や地域によって変わります。電車で座って過ごす1時間と、雪の朝に車で走る1時間では負担が異なります。自分の通勤が実際にはどのような時間なのかを思い出すと、許容できる範囲を考えやすくなると思います。
夜勤回数は希望する上限を数字で伝えた
夜勤については、月に何回までを希望するか、上限を数字で転職エージェントへ伝えていました。
わたしの場合、急性期では月8回、療養病棟では月5回、現在は月2回程度です。この減り方は偶然ではなく、希望条件として伝えた結果でした。伝えていなければ、ここまで変わっていなかったと思います。
夜勤の負担の感じ方には個人差があります。月8回でも続けられる人もいれば、少ない回数でも生活が崩れる人もいるため、一律に適正な回数を決めることはできません。ただ、希望があるなら、数字にして伝えたほうが反映されやすいと感じました。
できれば叶えたかったのは年間休日120日
年間休日は120日を希望していました。ただし、これは絶対に譲れない条件ではありません。
優先順位は低く、希望に届かなくても、自分が納得できる範囲ならよいと考えていました。実際、現在の職場の休日数は希望より少ないのですが、それで困っている感覚はありません。
「できれば叶えたい」は、満たされなくても選択肢から外さない条件です。ここを譲れない条件と同じ強さで持つと、候補がかなり狭くなると思います。
妥協できる条件は残業と施設の種類
残業は、月20時間程度までなら許容できると考えていました。出勤が月20日なら、1日あたり約1時間の超過まで、という感覚から決めた数字です。厳密に計算したわけではありません。
もう一つ、妥協できる条件にしていたのが施設の種類です。有料老人ホームでなければ嫌という希望はなく、避けたい施設種別も特にありませんでした。ほかの条件が合えば行ってみる、という考えでした。
仕事内容より待遇を先に見た
仕事内容と待遇のどちらかを選ばなければならないなら、わたしは待遇を優先しました。両方が良いことが理想ですが、順番をつけるなら、まず待遇を見て、そのあと仕事内容を見る形です。
これは人によってはっきり分かれると思います。やりたい看護があり、そのために待遇の優先順位を下げる人もいるでしょう。それも一つの決め方です。わたしは施設の種類に強いこだわりがなかったため、待遇で先に絞る方法が合っていました。
紹介された求人を項目ごとに比較した
紹介された求人は、年収はいくらか、通勤時間はどうかというように、条件を一項目ずつ確認しました。全体の印象で判断すると、「なんとなく良さそう」という理由で条件が甘くなる気がしたためです。
条件に合う求人のなかでさらに優先順位をつけ、上から順番に応募しました。そのため、条件には合っていても、順位が下の求人には応募しなかったことがあります。
見送ったというより、上から進めた結果、応募する順番が来なかったという感覚です。この進め方なら、一件ずつ応募するか悩まずに済み、わたしには合っていました。
条件面と職場の雰囲気を分けて考えた
個人的に大切だったのは、条件面と職場の雰囲気を分けて考えることです。
条件は、求人票や担当者から得られる情報で、数字を使って比較できます。一方、スタッフ同士の雰囲気や連携の様子は、実際に行かなければ分かりません。そのため、まず条件で候補を絞り、そのあと職場見学で雰囲気を見る順番にしていました。
条件と雰囲気を同時に比べると判断がぶれやすくなります。順番を分けると、自分が何を見て決めたのかが分かりやすくなりました。
現在の職場は希望条件をどこまで満たしたか
現在の職場で満たされたのは、年収、通勤時間、仕事内容です。絶対に譲れないと決めた年収と通勤時間がどちらも条件に入っていたため、そこは希望どおりでした。
休日数は希望より少ないかもしれませんが、もともと優先順位を下げていたため想定の範囲内です。残業はあるものの、病院時代より少なく、定時で帰れる日もあります。自分で決めた月20時間までという範囲から見て、困る水準ではありません。
夜勤は月によって増えることがあります。ただし、入職前に状況によっては回数が増えると聞いていたため、想定と違ったという感覚はありません。事前に説明を受けていたかどうかで、同じ出来事でも受け取り方は変わると思います。
転職エージェントへ伝える前にリストを作った
転職エージェントへ条件を伝えるときは、紙に聞きたいことのリストを作り、伝え漏れがないか確認しました。
担当者からも希望条件を聞いてもらえますが、それは担当者が想定できる範囲の質問です。自分が本当に聞きたいことは、自分から出さなければ漏れる可能性があります。
話しているうちに忘れることは珍しくありません。手元に一覧があるだけでも、条件を伝えやすくなりました。
転職条件を整理するためのチェックリスト
わたしが実際に使っていた条件を、三段階に分けて並べます。項目そのものより、「絶対に譲れない」「できれば叶えたい」「妥協できる」という三つの箱に分ける考え方が参考になるかもしれません。
- 絶対に譲れない:年収の最低ライン(約450万円)
- 絶対に譲れない:通勤時間(片道30分〜1時間の範囲)
- できれば叶えたい:夜勤回数(上限を数字で伝える)
- できれば叶えたい:年間休日(120日を希望、優先順位は低め)
- 妥協できる:残業(月20時間程度まで)
- 妥協できる:施設の種類(特にこだわりなし)
まとめ
わたしの場合、譲れない条件は年収の最低ラインと通勤時間の二つだけでした。この二つで先に絞り、残りを項目ごとに確認して、優先順位の高い求人から応募しました。
条件をたくさん並べることよりも、「これが満たされないなら見ない」という線を先に引くほうが、結果的に選びやすかったと感じています。その線に理由があれば、迷ったときにも自分で説明できます。わたしにとって通勤時間を重視する理由は、冬の朝にフロントガラスを溶かしていた経験とつながっていました。
条件を書き出すとき、それぞれの項目へ「なぜ」を一言添えると、本当に譲れないものが見つかるかもしれません。何を大切にするかは人によって異なります。自分なりの答えを見つける材料になればうれしいです。